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吾々は初めに科学の精密の概念を追求していた。それは、数学によって、更に精しくは幾何学によって、更に精しくは幾何学の応用・物理的空間によって、最後には世界空間によって、保証されねばならない。事実、世界空間の形式は精密科学の理想と考えられているであろう。処がこの世界空間は又同時に、方法と対象との一致を、理想的に云い表わす。方法と対象との一致とは、併しながら、恰も科学的世界の基礎を決定するものに他ならなかった――最初を見よ。故に最後の問題は世界空間と自然科学的世界の関係に横たわる。

「どうもありがとうございました」

話し続ける里奈のおふくろに、カメラマンの武田が野次を飛ばした。

次の日からオレは別人のように生まれ変わった。里奈の言うとおり、仕事に命をかけたのだ。仕事を頑張らないと、里奈がいい返事をくれないような気がした。オレはどこからか里奈が見ているような気がしたのだ。オレは懸命に働いた。いつもなら見逃してやる演出ミスも、オレは見逃さなかった。高野は怪訝な顔をした。どうしたんだ、なんかおかしいよ。おかしかない、オレはいい作品を作りたいんだ。オレがそう言うと高野は首をひねりながら仕事を続けた。

**KantのMetaphysischeAnfangsgrndederNaturwissenschaftはニュートンの自然科学に就いての先天的原理を取り扱う。

「この人達に、貴様が戦争の終った日に、何と何とをトラックで運ばせたか、一部始終ばらしたるぞ!」

恐らく小林がオフェリヤを書きたかつたのはそれと同じ氣持だつたんではないかと思う。デモンに憑かれた小林にはそれをふり落すためには、一人のオフェリヤを書くことが絶對に必要だつたんだ。

学問性は真理性の獲得であると云ったが、併し真理性の獲得とは、具体的に何を指すのであるか(問題は真理性の実践的な獲得であるのだから真理性に対する観念論的規定――普遍妥当性・真理価値――は今の場合一応除いておく)。茲に吾々は少くとも解釈の二つの道を事実上知っているのである。第一に真理性の獲得は問題の解決であると考えられる。真理性は与えられた問題を解決することによって初めて獲得され得るのでなければならないと考えられる。もし或る問題を解決し得ないならば、何人も真理性を獲得したとは信じることが出来ないに相違ない、判ったと思うことは不可能であるであろう。それ故この場合学問性は解決である。或る学問が解決力を持つ限り学問性を持ち、夫を有たない時之を有たないと考えられる。実際、何等の解決を齎すことの出来ない学問、その学問の学問性は無に等しいであろう。学問性とは研究を進め課題を解き得る実行力――学問の有用は何よりも先に之でなければならない――の他ではないと考えられる。プラグマチズムは恰も学問性――真理性の獲得――を茲に求めるのである(之に対して、真理は解決力――有用――の有る無しではなくして普遍妥当性を有つか有たないかにある、と云って反対することは、始めから許されていない。何となれば茲では真理性の単なる規定ではなくして真理性の獲得が問題であったのだから)。さて学問性は真理性の実践的獲得に存在し、それが解決の概念であった。処が方法は体系よりも常に何かの意味に於て実践的であったであろう。それ故解決の概念は体系にではなくして正に方法に属さねばならない。解決は方法概念の内にぞくす。それ故この場合の学問性は方法概念にぞくするのである他はない。かくて茲に於ては――学問性がもはや手続きや考え方・成果や組織ではなくして真理性の獲得である処では――方法が体系を優越することとならなければならない。学問性概念の動機への分析に於て一つの新しい方法概念――何となればそれはもはや体系概念との相互の否定を許さない優越なる方法であるから――を吾々は茲に見出したであろう。そして実際プラグマチズムの所謂方法は真理性獲得の手段の概念である。真理発見の手段が学問と考えられる。

パーマネントの美人(私はパーマネントには美は感じないのであるが)は、いくら絶世であっても、私の美人画の材料にはならないのである。

加来しかしね、兄さん、男の虚栄心つていふものはさういふもんでせう。あなたが、日本から冬菜を連れてミュンヘンまで来てくださつた時、僕は、あの停車場のプラット・フォームで、あなたと冬菜との顔をちらとみた瞬間、これはいかんぞ、と思つた。なにかあるな、といふ直感がぴんと来た。しかし、どうです?僕は、それから三月後に、パリで冬菜をひとりあなたのところへ預けて、ロンドンへ飛びました。冬菜が、もうしばらくパリを離れたくないといふからです。

大阪には大阪らしい名前、京都には京都らしい呼び名をつけているところに、その都市都市の好みがうかがえて面白い。

「小杉さん。」

もし吾々の課題の形態が学問性に於ける方法概念の分析ではなくして、単に学問性概念の分析であったならば、恐らく最も始めに次のことを注意する必要があったであろう。学問性は真理性の獲得として規定されたが、それは学問が真理を云い表わすものに他ならないと考えられるからでなければならない。そうすれば学問性は真理性と一つに考えられる筈のものである他はないようである。処が真理性の概念は、その真理に至る方法とか、その真理を叙述する体系とかいう概念を以ては、中枢的に把握出来ない処の一つの固有な規定を有っていることを人々は気付くに違いない。この規定の最も代表的な表現は深さの感覚――Tiefsinn――である。真理性が深さにあるとすれば、学問性が真理性と等置されたからには、学問性も亦深さをその最も深い規定としなければならないこととなるであろう。そうすると、現に方法は学問性の根本的な規定であることを止めねばならなくなりそうである。この結果は成る程、方法概念が体系概念に対して有つ一応の優越を必ずしも破りはしないかも知れない、併し吾々が得た方法概念の優れたる性格――学問性の性格・又生活原理としての――は失われる。かくて実際、方法概念の分析の興味は重大な損失[#「損失」は底本では「損夫」]を受けるであろう。終りに臨んでこの不満を処理しておこう。

女――まだなんでしょう。
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