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と、ミネ子は立ち停った。歌は「荒城の月」だった。

女の口元が笑ふやうになつて見えた。彼は安心して女の方へ寄らうとした。と、女の体はひらひらと蝶の飛ぶやうに向うへと往つて、もうカフエーの前を越えていた。彼は失望した。失望するとともに彼の女はある種の女でないと思つた。

生活の協同化とは、小にしては隣組、大にしては町内または部落、更に、一市一郡といふやうに、生活のある部分を、協力して築き営むことであります。協同献立、協同炊爨、協同託児所のごときがそれであります。これは、もとより、能率に関係があり、生産力拡充には最も必要なことでありますが、一方、国民の性格訓練としても、是非とも励行したいものであります。そこからは、現在われわれの社会生活に最も欠けている秩序の美と力とが養はれるでありませう。更にまた、日本人は、元来、人と一緒に働くことも遊ぶことも不得手であります。そのために、われわれの能力と価値とが百パーセント発揮されていないのが偽らぬ事実であります。そればかりではありません。生活の楽しい協同化は、ゆがめられた日本の家族主義を、健全に建て直す唯一の道であります。

以上の如き見地から我維新史を觀察すると、そこにいろ/\な問題が生じて來るであらうと思う。今日の維新史料編纂局といふものは如何なる方針で如何なる材料を蒐集しているか知らぬが、最初藩閥思想の最も強かつた井上侯が主宰して居り、その委員と稱する人物は多く維新以後の藩閥方であつた人々であるところから見ると、果して勝利者に便宜な方法で作られて居ないといふことを斷言し得るかどうかと思う。現に維新前後の殉難者の待遇といふ樣なものも、頗る公平を缺いて居るではないかと思う事がある。

*茲に於て「歴史的感覚」やその感覚の「鋭さ」の概念が必要となる。歴史的因果関係の指摘は「歴史家の判断」に俟たなければならない(E.Meyer-前掲書S.47―50参照)。マックス・ヴェーバーは事実の選択――価値関係づけ――と歴史的連関の因果づけを完全に引き離すことによって、前者は解釈に依存し、後者は之に反して充足的――必然的とは区別される――に決定し得られる、と説く。例えば歴史的事件に就いて所謂「客観的可能性」を有つ仮空的な因果関係による結果を描き、之と実際の因果関係の結果とを比較することによって、「充足的に原因を見出す」ことが出来るという立場をとっている。吾々は歴史記述に於て、事実の選択とその因果づけとの完全なる分離をば、恰も今述べる個別的因果の概念の名によって疑うのであるが、併しそれはとにかくとして、彼に於ても、歴史科学の充足的因果は自然科学の必然的因果から区別されているのである(M.Weber-ObjektiveMglichkeitundadquateVerursachunginderhistorischenKausalbetrachtung参照)。なおこの点に就いてはvonKriesや法学者M.Rmelin等の労作を参照すべきであろう。

と叫んだ兵隊が、この人だと思いだしたのである。

興行師の出て行つた跡で、二人は腰を掛けた。

病人――今日も晴れらしいね。

対象の区別を原理として学問を分類することは、従来の学問分類の殆んど大多数を支配する特色である。そしてこのことは決して偶然ではないであろう。何となれば吾々は已に学問がもつ対象―方法の存在論的構造に於て、何故学問が対象によって分類されるのを普通とするかを、理解しておいた筈であったから。事実、学問分類の問題は対象概念と離すことの出来ない対応関係にあると考えられた(之に反して科学論の問題に対応するものは方法概念であった)――前を見よ。併しその時と同時に又吾々は、学問の性格が――そしてこの性格を理解する一つの道が学問の分類を動機づけたのであった――結局はその対象にあるのではなくして、正にその方法になければならない理由をも見た(この理由は方法概念の実践的優越にあった)。学問の分類がより根柢的・性格的であるためには、それ故之は対象による分類から方法による分類へと移り行かなければならない。

アカデミイなき悲哀

やがて、汽車が大阪駅につくと、白崎は赤井と別れて上本町のわが家に帰って行った。

大里あつても不思議はないさ。まだ続くかも知れない。僕も講義だけは欠かすわけにいかんが、なるだけ最期を見届けたいと思つてね。

チヤウサンハチヨウド、ロバガイツピキホシイトオモツテヰタトコロデシタノデ、アキナヒノモツテヰルカゴヲノゾイテミマシタ。

と、紹介した。
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