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かくて学問の分類が、歴史的な系列的分類ばかりではなく一般に、系列的分類そのものに安んじることが出来ないことが見出される。蓋し一般に事物を系列づけることは、事物を分類しようとする動機によるよりも、直接には寧ろ、事物の単なる配列を与えようとする企てによって動機づけられているのが常であるであろう。従ってそれが事物の性格を把握することからは遠く隔っている場合の出てくることは当然であるのである。処が学問の性格を把握することこそ、学問の分類の目的――従って又動機――でなければならなかった。分類はその動機から云って学問の系列として与えられることに満足することは出来ない。学問の系列ではなくして云うならば「学問の樹木」をそれは求める。学問が如何に並んでいるかではなくして、学問が如何に枝さしているかが、学問の分類の課題の真の形態である。

歴史学が決定しようとする事実は、それが吾々――人々――に対して持つ意味関係によって制限された限りの事実であることを知ったが、今もし歴史的事実の選択を行なおうとするならば、選択の原理も亦今のこの意味関係を他にして見出されることは出来ない。意味関係とは併しこの場合、事物を吾々が自己への関係に従って規定するその規定の他ではない。というのは吾々が事物に関係する限りのこの関心を事物に帰着せしめた結果を夫は意味する、それは価値である。蓋し価値は事物が吾々の関心に対して有つ意味の最も優れた一つの名称であるであろう。そうすれば歴史事実の選択の原理は価値を他にして求められることが出来ないこととなる。選択の原理は価値関係づけ――但しそれは主観的な評価ではなくして客観的な理論的価値関係づけである――に他ならないことが帰結しなければならない。リッケルトが価値関係づけを以て歴史学的概念構成の特色と見たのは茲に必然である。――今もし普遍的なる事実を選択するのであったならば、選択の原理はその課せられた普遍者そのものの内にある筈である。というのは吾々はその普遍者の事例として役立つような事実を選択するまでである。この場合なる程普遍者に対して価値をもつ事実はその限り又この普遍者を認識しようとする吾々に対して価値を有つわけであるが、この間接なる価値関係づけは、今の価値関係づけではない。何となれば後者は一般に吾々への価値関係づけであったが、吾々は例えば歴史に於てただ普遍者なるものにのみ価値を見出すのではないからである。故に普遍的なる事実の選択の原理は事実が普遍者に対して有つ価値にあるのであって、事実が――直接に――吾々に対してもつ価値にあるのではない。この場合選択の原理は所謂価値関係づけではない。それ故価値関係づけという選択の原理はただ個別的――普遍的ではない――なる事実に就いてのみ、特有の意味に於て語られることが出来る。価値関係づけはただ個別化の方法としてのみ特有の意味をもつ。従って歴史的事実は、その吾々への意味関係に於て、その価値関係づけに於て、個別的なるものとしてのみ意味をもつ。歴史科学的概念構成が個別化にあると考えられる所以が之である。――歴史的事実はこのようにして個別的でなければならないが、そればかりではなく、吾々への意味関係は吾々――人々――が個人を意味する以上個性的性格的でなければならないから、歴史的事実は又その限り個性的な規定を受けていなければならない。歴史的事実に於ける因果関係はそれ故、それ自身個別的である点に於て且つ又個性的なるものとして吾々へ意味関係をもつ点に於て、個別的でなければならない。かかる因果は単に個々のものに就いての因果であるばかりではなく――それならばフリッシュアイゼン・ケーラーの云うように自然科学も夫を取り扱うことが出来る――、吾々がその因果の連鎖を吾々への意味関係に於て性格的――個性的――に追求しなければならないような、因果である*。因果のこのような個性的・性格的な追求は自然科学に於ては許されないであろう。ヴェスヴィオの噴火の原因は、その無限の原因にも拘らず、常に一義的に決定し得られるべき性質を持っている。然るにフランス革命の原因は何であるか。ブルボン王朝の失政であるか、それとも市民階級の台頭であるか、それともモンテスキューやルソーの思想の影響であったか。かかる原因の解釈は、性格的に――時代の・階級の・又個人の性格に応じて――変り得る性質を持っている。それは或意味に於て一義的に決定されるべきでありながら、ヴェスヴィオ噴火の原因と同じ意味に於ては、一義的に決定され得ない**。この因果は自然科学に於ける因果――自然的因果――ではなくして恰も個別的因果と呼ばれるべきであろう(性格的因果と呼ぶのも好いであろう)。尤もこの個別的因果がそのままリッケルトの与えた意味での個別的因果となるのではない。すでに、この概念がリッケルト自身によって用いられた立場――認識論的立場――そのものの困難を吾々が見た時、個別的因果が彼自身の考えるように歴史学的概念構成から独立な事実(実在)に始めから具わったものではあり得ないことをも見ておいた筈であるから。併しそれにも拘らず吾々がリッケルトのこの概念を尊重しなければならなかったその理由が、今与えられた。歴史科学の方法論に於て個別的因果の概念が引き合いに出されなければならない必然性は茲に横たわる。

冬菜、どうしやうか、みんな一緒に、ここへ通してもらふか。

加来だ、だ、だ、だ、だ、だまつて……。軟骨の化けもの、くたばれ!

かくて自然科学と歴史科学とは科学の方法――概念構成――の分類を云い表わすのであった。この分類に基いて同時に又この二つの科学の方法による分類が与えられたのである。さて学問の方法が学問の形式と呼ばれる理由を吾々は前に見ておいた。そこでこの分類は形式的であったのである。処が形式に対応して内容を指摘することが出来るから、形式的分類に対応して、二つの科学はそのまま内容的分類を与えるであろう。この時二つの科学が夫々、自然科学及び文化科学と名づけられるのであった。

冬菜それがおできになれば、立派ですわ。きつと、あなたには、それがおできになれますわ。

「へい」

「放送中の人を、電話口に呼べませんよ」

リッケルトの科学論に対する四つの重な批難を私は吟味した。此等の批難が吾々にとって何を意味するかを改めて述べよう。

「何か買つて往きませうか、たべる物でも、」

私は夢をみてるような気持ちで、それからほんとにうとうと眠ったらしい。眼がさめると、涙が出ていた。

p.19「地獄変」「野蛮な芸術的法悦に云々」――伸子は野バンナという形容詞にはっとした、それは彼女が感じていたものだったが、ヤバンと云い切れなかったものだった、

葉巻の灰が崩れさうになつたので、久保田は卓に歩み寄つて、灰皿に灰を落した。卓の上に置いてある本があるので、なんだらうと思つて手に取つて見た。

之は最も効果的な表現である。他の人達と同視されることを憤慨するのは、如何なる直接的な自己主張よりも、一層強い自己主張になる。自分はこうだああだと如何に説き立てても、他の人達と同視されるのを憤慨することには遠く及ばない。他の人達と同様だということを否定するのが、最も強い自己主張になる。
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